Brand : Maison Martin Margiela
Material : Cow Leather [lining] Cotton, Rayon
Model:173cm 63kg


「脱構築」「アンチモード」という考え方のもと作品を展開し、ファッション界に最も影響を与えたブランドの一つ、"Maison Martin Margiela" (メゾン・マルタン・マルジェラ、現Maison Margiela)"。


マルタン・マルジェラは1957年にベルギーで生まれ、アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。
彼は1984年から1987年までジャン＝ポール・ゴルチエのアシスタントを務め、その後1988年に自身の名を冠したブランド "Maison Martin Margiela" を設立しました。


マルジェラのデザインは、従来のファッションの枠を超えた、革新的で逸脱的なもの。
当時のモードにおける流行に反する、タイトなシルエットの作品を打ち出した「アンチモード」、
意図的に衣服の縫い目や裏側の構造を見せたり、これまでの服の作り方の常識にとらわれない「脱構築」スタイルなど、デビュー当初からファッション業界の常識に反する独自の世界観を提案。
更に高級志向が世間で人気を集めていたことに疑問を感じたことから、あえて貧困層に見えるように古着をリメイクした「ポペリズム（貧困者風）」スタイルなど、衝撃的な作品の数々。


ミステリアスな存在感と、ファッションに対する独自のアプローチもまた彼の魅力。
マルジェラは公の場にほとんど姿を見せず、インタビューもFAXで行うなど、徹底して自らを隠すような振る舞いをしていました。
全てにおける徹底した姿勢が、彼のブランドに一層の神秘性と魅力そのものをもたらしています。
故に今も尚、世界中で数多のファンから愛されている屈指のブランドと言えます。

"Maison Margiela"の2012年秋冬メンズコレクションから放たれたこの一着は、単なるアウターの枠を超え、ブランドの哲学と飽くなきファッションへの追求が鮮烈に表現された存在。


ベージュカラーをベースに、手塗りされたかのようなトーン・オン・トーンのチェックパターンが強烈なインパクトを放ちます。

しかし最もインパクトを放つのは、パッと見では気づきようのないところでしょう。
使われているのは何とリアルレザーであるということ。
ハリと重厚感、ザラッとした粗暴な風合いのカウスエードの特性を巧みに使うことで、柔和な雰囲気のチェックパターンとの対比が生まれています。


意図的に塗る順番を変えていたり、箇所によって色合いを変え印象も変えたり...
パターンは決して規則的であるわけではない。
直線の交差という、無機物なものであるはずが、人間の手が行う不均一で有機物を感じさせる。
この一着からはある種「違和感」というものを感じます。

この違和感には、"Maison Margiela"が得意とし、シリーズに数多くのファンを抱えるトロンプ・ルイユ＝騙し絵技法に似たものを感じます。


実際には、存在しない複数のレイヤーやディテールを、あたかも本物のかのように表現すること(例えば、一枚の素材に本物の縫製やテクスチャーを施したかのような印象を与える視覚マジック)を言いますから、厳密には違っているかもしれません。


しかし、常に「解体と再構築」をテーマにしているマルジェラの哲学。
その中で、従来の服飾の常識や固定概念に挑戦する一貫として取り入れられた、そのトロンプ・ルイユという技法と、今回のこの不均一なチェックパターンの本質は同じであるはず。


ジップジャケット自体のディテールは至ってシンプルかつミニマルで、オーセンティック。
しかしシルエットは再調整され、程よく効かせたシェイプはドレッシーさを、膨らみを持たせたアームは抜け感をプラス。

スエードレザーの質感からは、重厚でシック、そして温かみを感じる伝統的で硬派な印象。
しかし、日常にありふれた古典的なチェックパターンを大胆に載せることで、こんなにも斬新なプロダクトを作ることができるのか。
これこそが、僕のこれまでの固定概念が破壊され、新しい解釈が生まれた瞬間。



よく巷では「身に纏うアート」という言葉を聞きますが、この一着には、そんな言葉では終わらせたくない、終わらせてはいけないという想いを沸々と感じてしまいます。

チェック柄という伝統的で普遍的なイメージを、スエードの温かみと混ぜ合わせたことによって生じた「違和感」の正体は、洋服に対する問いそのもの。


"Maison Margiela"が描く、過去と未来との交差点。
完璧な美は決して一見して明らかではない。
そして、洋服というものは、いっそ破壊的であるほどに、もっと自由であるべきだという事...。
そんなブランドのメッセージを感じずにはいられません。



モードな部分を切り取って、オールブラックやデザイン系のアイテムでまとめるもよし。
クラシカルな部分を切り取って、デニムにスニーカー、あるいはスラックスに革靴でもよし。
襟は気分で着けたり外したり。


自由奔放であるからこそ、自由奔放になれるアイテム。
貴方ならどう合わせますか？

Measurement : サイズ情報

Size : 48 [表記] (日本メンズサイズ M-L相当)
平置き採寸 : 肩幅 49.5cm 身幅56cm 袖丈63cm 着丈 65.5cm
※Model : 173cm 63kg

Condition :商品状態

全体的に着用感が見られますが、目立ったダメージのないグッドコンディション。
ヴィンテージ特有の風合いとしてお楽しみください。

Attention

・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。

・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。

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