Brand : Hermès
Material : Calfskin 100%
Size42
静けさの中に、すべてが宿る。

こちらは1999年から2003年頃にかけて製造された、Hermèsによるイタリア製のシングルモンクストラップシューズ。
最大の特徴は、ストラップに密やかに添えられた“H”型バックル――主張を抑え、しかし確かにHermèsであることを示す、研ぎ澄まされたディテールです。

アッパーには深みのあるダークブラウンのカーフレザーを採用。しなやかさとハリを兼ね備えた革質は、当時エルメスが追求していた「素材そのものの贅沢さ」を体現しています。使い込むことで艶を深め、履く者の時間を吸い込むように育っていく、まさに“革と共に歩む”ための一足。

スクエアトゥ気味のロングノーズは、90年代末から2000年代初頭のモードな空気を取り入れつつも、誇張を排したバランス設計。細身でありながら構築的に足を包み込み、スタイリングを選ばず現代的な落ち着きをもたらします。

製造はイタリアの名門Santoni（サントーニ）。
この時代のHermèsでは、ジョンロブ製のクラシックラインとは別に、ごく限られたルートでイタリア製のハイグレード・ラインが存在しました。中でもサントーニ製は、Hermèsがそのクラフツマンシップを信頼し、OEM供給を委ねたことで知られています。

アウトソールには「semelle cuir」と「MADE IN ITALY」の刻印が入り、ソールの縫製・仕上げ・コバ処理に至るまで丁寧な仕事が見て取れます。

この靴が作られた時期、Hermèsはマルタン・マルジェラの指揮のもと、「静けさ」「削ぎ落とすこと」「語らないこと」の哲学を徹底していました。
そしてHommeラインのディレクションを担っていたヴェロニク・ニシャニアンは、クラシックとコンテンポラリーの間にある“都市的な中庸”を再構築しようとしていました。
この一足は、まさにその時代の空気を濃密に閉じ込めたプロダクトです。

Measurement : サイズ情報

表記 : 42 (日本メンズサイズ 27cm相当)
平置き採寸 : ソール全長 30 底幅 10.5 ソール高2.2 甲周り15.5

Condition :商品状態　

良好。ソールに若干の使用感あり。革質・ライニングともに健全。
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