Brand : Maison Martin Margiela
Material : Wool 53% , Cotton 47%
Color : Red
Size:XL
Model:175cm 65kg


ファッションの常識を覆し続けたブランド、“Maison Martin Margiela”。
裏地や縫い目をあえて見せる「脱構築」や、古着を再構築する「ポペリズム」など、既存の価値観に疑問を投げかけるその哲学は、今なお世界中のファッション愛好家を魅了し続けています。

一見すると、上質な素材で丁寧に編まれただけの、シンプルなクルーネックニット。しかし、その細部に目を凝らせば、Maison Martin Margielaらしい“問いかけ”が織り込まれていることに気づかされます。

こちらは、2011年秋冬コレクションにて発表された、メゾンの定番ライン「14（メンズ）」に属する一着。マルジェラの中でも、クラシックなメンズウェアを再構築するラインとして知られています。ジョン・ガリアーノ就任期にあたりながらも、創業者マルタン・マルジェラの思想を継承した「チーム・マルジェラ」が手がけたこのコレクションでは、伝統的な衣服構造への再解釈が主題となりました。
その中でこのニットは、“クラシック”とされるエルボーパッチ付きセーターを土台にしながらも、そこに宿る記号を巧みにズラし、構築し直すというメゾンらしい実験精神に満ちています。

最大の特徴は、袖に施されたエルボーパッチのディティール。伝統的なニットやハンティングジャケットで見られる肘当ての文脈を受け継ぎながらも、その形は楕円ではなく、まるで革が“切り取られた”ような直線的なフォルム。機能性の象徴を、意図的に無機質で構築的なデザインへと変換することで、メゾンが大切にしてきた“記号のズラし”を体現しています。

さらに裾には、レザー素材で形作られた斜めのパーツが一片だけ縫い付けられており、まるで取り残された記号のように佇んでいます。これは飾りではなく、本来あった構造の痕跡を暗示するもの。無駄を削ぎ落とすだけではなく、そこに残された「不在の存在感」こそが、マルジェラの哲学を静かに物語ります。

素材は、ウール53％・コットン47％。この混紡によって生まれるのは、高密度ながら柔らかく、ほんのり起毛感を残したプレーンニット。編みは天竺（ジャージー）ベースですが、ふくらみを持たせた仕立てにより、肩から袖にかけて自然な落ち感を生み出しています。リブはやや強めにテンションをかけて仕上げられ、ウエストラインにかすかな陰影を生み、全体を引き締めます。


マルタン・マルジェラの退任後もなお、その思想を丁寧に受け継ぎ、かつ実用に耐える日常着へと昇華させたこの一着は、過剰に語らずとも、着る人の感性に語りかける力を秘めています。服とは何か。装いとはどうあるべきか。そんな根源的な問いに対し、ひとつの“静かな答え”を提示してくれるニットです。

エルボーパッチという記号が持つ意味を問い直し、素材と構造の痕跡をあえて見せ、着る者に「これは何か？」と語りかける。
その知的な遊びと詩的な構成力こそが、マルジェラの本質なのです。

Measurement : サイズ情報

表記 : XL
平置き採寸 : 肩幅 49cm 身幅56cm 袖丈73cm 着丈 81cm

Condition :商品状態

全体的に着用感が見られますが、目立ったダメージのないグッドコンディション。
ヴィンテージ特有の風合いとしてお楽しみください。

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