Brand : Hermès
Material : Cotton 100%
Color : Beige
Size : M
Model：175cm 65kg


何も語らない服こそ、すべてを語る。

こちらは、Hermès Homme（エルメス・オム）の2010年代中盤──2015〜2018年頃の春夏コレクションに登場した、プレーンな半袖カットソー。
ロゴも刺繍も、ボタンすらない。
それでも一目で、“ただのTシャツではない”と分かる。
そんなHermèsならではのミニマリズムの到達点とも言える一着です。


素材は、選び抜かれたコットン100%のジャージー。
その質感は、極めてしなやかで落ち感がありながらも、しっかりと厚みを保ち、型崩れしにくい。
光沢はあくまで控えめで、触れると驚くほど滑らか。
ただの天然素材でありながら、どこかテクニカルな仕上がりすら感じさせます。

首元はクルーネック。襟リブは細く、浅めに設定されたネックラインは顔まわりをすっきりと見せ、ジャケットの下にも自然と収まる設計です。

そしてこのTシャツ最大のポイントは、肩の構造にあります。

一般的なカットソーに比べて、肩線に沿ってもう1枚パネルを重ねるような構造補強がなされており、それが静かなアクセントとして機能しています。
ただの補強ではなく、これは構造そのものを“見せるデザイン”へと昇華したHermèsらしい意匠。
摩耗の多い肩の耐久性を高めながら、同時に着たときの肩のラインに立体感を与え、構築性の輪郭を描き出す効果を持っています。

こうした設計は、Hermès Hommeを長年率いてきたヴェロニク・ニシャニアンの哲学そのもの。
彼女は「装飾で飾る」のではなく、「構造で語る」ことを信条にしており、
縫い目や切替をあえて露出させることで、静かに服の品格を語らせるアプローチを続けてきました。

このTシャツもまた、どこにもブランド名は記されていません。
“H”の刺繍すらない。
それでも、縫い代の処理、肩の仕立て、裾のライン──そのどれもがHermèsの精度であることを伝えてきます。

シルエットは中庸そのもの。
細すぎず、緩すぎず。
体のラインを拾いすぎることもなければ、だらしなく見えることもない。
まるで「ちょうどいい」という言葉だけを頼りに設計されたかのようなバランスです。


ロゴではなく、縫い代の設計と、素材の選び方と、シルエットの整え方で語る──
そんな静かな自信が、この一着には宿っています。

このTシャツを着ているとき、あなたは何も誇示しない。
けれど、誰よりも整っている。
そんな“言葉のいらない上質さ”を体現する服です。

Measurements：サイズ情報

表記 : M （日本メンズサイズM相当）
平置き寸法 : 肩幅 44cm 身幅 52cm 着丈 69cm 袖丈 22cm

Condition：商品状態

着用に伴う使用感や、目立たない程度のわずかなシミ感が見られます。画像にてお確かめください。

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