Brand : Italian Vintage
Material : Silver 925
Size : 日本サイズ11号、重量：6.9g

指先に宿る、小さな彫刻作品。
このリングが放つ存在感は、ただの装飾とは明らかに異なる気配を纏っています。

素材はシルバー800。一般的な925に比べて純度はやや低いものの、その分、古い時代のジュエリーに多く用いられ、深みのある輝きや経年変化の味わいを楽しむことができる素材です。このリングにも、銀ならではのくすみがわずかに現れ、どこか時間の堆積を感じさせます。

最大の特徴は、やはりその造形。渦を巻くような、あるいは波打つ金属の軌跡が中央に力強く盛り上がっており、ひと目で“彫り”ではない、練られた立体構成であることがわかります。正面から見ると静けさを感じさせる一方、斜めに角度をつけると、金属がねじれながら立ち上がるようなダイナミズムを帯びてくる。まるで、彫刻家の手がそのまま留まったかのような、生々しい息遣いがあります。

この立体造形は、近代以降のアートジュエリーや彫刻的指輪（sculptural ring）に通じるもので、装飾のための造形というより、むしろ「造形そのものが主役」であるような佇まい。明確なモチーフは与えられておらず、見る人によっては渦巻、水の流れ、あるいは宇宙的な重力の歪みにさえ見えるかもしれません。

こうした彫刻的なリングは、特定の文化圏というよりも、1960〜70年代を中心としたアートムーブメントの影響が濃く、ジュエリーという枠を超えて、当時の前衛的な造形思想を体現しているといえるでしょう。大量生産品ではまず見られない、手仕事の密度と、彫刻的なバランス感覚が際立っています。

着用時には、リングとしては珍しい“重心の偏り”が感じられるかもしれません。中央モチーフが高く立ち上がっているため、指に乗せると独特の存在感が生まれ、視線が自然と集まります。合わせるスタイリングは、クラシカルなものより、無地のカットソーやシンプルなシャツなど、プレーンなものを。むしろ他を削ぎ落とすことで、このリングの造形美がよりいっそう引き立ちます。

静と動。抽象と実体。そのあわいに揺らめくようなこの一点。
アートピースを指元に――そんな言葉がふさわしい、シルバー800の彫刻的リングです。

Condition :商品状態

年代物らしい雰囲気を放つ。
ヴィンテージの風合いとしてお楽しみください。

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