Brand : Hermès
Material : Leather
Color : Black
Size : 110
Model 175cm 65kg

エルメスが生み出すベルトには、華やかな「H」バックルのようにブランドの象徴を前面に押し出したものから、あえてロゴを排し、クラフツマンシップそのものを引き立てるものまで、幅広い表情があります。

本作はその後者に位置する一本。
2002年製のヴィンテージでありながら、時代を超えて通用する普遍性を宿した、シングルフェイスのドレスベルトです。


エルメスの2000年代初頭は、メンズとレディースで二つの重要なデザイナーがそれぞれの哲学を牽引していた時代でした。
メンズは1988年から続くヴェロニク・ニシャニアンが指揮を執り、「日常に寄り添うラグジュアリー」を軸に洗練されたプレタポルテを提案。

そしてレディースは1997年秋冬から2003年春夏にかけて、マルタン・マルジェラがアーティスティック・ディレクターを務め、徹底したミニマリズムと匿名性をベースに、クラフツマンシップを再定義していました。


本作は、まさにその両者が並行して活躍していた時期製作された一本です。

メンズのベルトとしては、30mm幅のシングルフェイス仕様。素材には張りのあるスムースカーフを採用し、光沢を抑えたマットなブラックがシックな存在感を放ちます。裏面にはナチュラルカラーのカーフライニングを用いており、堅牢さと柔らかさを兼ね備えた仕立て。


バックルはシンプルなピン式で、控えめなDシェイプを思わせるフォルム。

ブランドのロゴやモチーフを誇示せず、革そのものの質で語る潔さは、同時代のマルジェラがレディースで示した「匿名性」や「素材の純度」とも響き合います。
アイコン性に依存せず、仕立てと素材だけでエレガンスを成立させる。
その発想は、メンズにおいてはニシャニアンの美学であり、同時にマルジェラ期のレディースが世界に提示した新しいラグジュアリーの在り方とも共鳴していたのです。


2002年という製造年を背に持つこのベルトは、まさにエルメスが「クラシック」と「モダン」を行き来していた時代の証言者。
Hバックルの華やかさを避け、ブラックカーフとシンプルなバックルでまとめられた姿は、ブランドの奥深さを物語ります。
アイコニックなデザインではないからこそ、時代背景やディレクションの文脈を知る人にとっては特別な意味を持つ一本です。

Measurements : サイズ情報

表記： 110 (日本メンズサイズ40インチ前後相当)
※ホールを開けることでサイズ調節が可能でございます。
平置き採寸 : 全長 123cm 幅 3cm

Condition :商品状態

多少の使用感や擦れによる傷が見られます。
写真にてご確認ください。

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