Brand : adidas
Color : White
Material : Lether
Size : 27.0-27.5cm程度
Measurement : ソール全長28 底幅9.5 ソール高さ3 甲周り19 [cm]


1970年代後半から80年代初頭にかけて、adidasが展開していたレスリング／ボクシングシューズの象徴的な存在が「Hercules」。

軽量化を実現するためにレザーとメッシュを組み合わせた構造で知られ、世界中の競技者に愛用されました。しかしフランス国内のVentex社によるライセンス生産では、異なる仕様が採用されていました。

本作がまさにその希少な派生型にあたります。


ホワイトのスムースレザーを全面に用い、トゥやサイドにはベージュスエードで補強を加える堅牢なつくり。
アウトソールはマット上でのグリップ性を重視したフラットラバーで、サイドにはフランス国旗を想起させるトリコロールのスリーストライプスが走ります。
タンには「La marque aux 3 bandes」「Made in France」と青字でプリントされたタグが縫い込まれ、1970年代後半〜80年代前半のフランス製adidasに典型的なディテールを示しています。
Herculesと同時代・同系統のモデルながら、素材選択やカラーリングの点で独自の個性を放つ一足です。


このモデルを語る上で外せないのが、英国ロックバンド「Queen」のフロントマン、フレディ・マーキュリーとの関係性。彼は1984年の The Works Tour を皮切りに、ステージ上でadidasのハイトップレスリングシューズを愛用していました。
とりわけ1985年、ロンドン・ウェンブリーで開催された伝説のチャリティーコンサート Live Aid で、フレディは白地にスリーストライプスが映えるモデルを着用。その姿は全世界のテレビ中継を通じて数億人の目に焼き付けられ、スポーツシューズがロックスターのステージ衣装に溶け込む瞬間を象徴しました。
翌1986年の Magic Tour でも同系統のシューズが使われており、彼にとってadidasは単なる道具ではなくパフォーマンスを支えるアイコンでもあったのです。


フレディが履いたものは主に白×黒ストライプのHerculesでしたが、初期には青と赤のトリコロール仕様を履いていたとも伝えられています。
まさに本作のようなフランス製トリコロールバージョンがそのルーツに重なる可能性は高く、ファッション史と音楽史をつなぐ稀有な一足といえるでしょう。


スポーツの現場では競技者の足元を支え、音楽の世界ではカルチャーの象徴として存在したこのadidasのレスリングシューズ。
今日では「Made in France」「トリコロールストライプ」「Hercules系譜」という要素が揃う個体は極めて稀少で、ヴィンテージ市場でも高い評価を受けています。
70年代後半〜80年代前半という限られた期間にしか生産されなかったこと、そして実際にフレディ・マーキュリーのステージと結びついて語られる背景が、この一足を単なるスポーツギア以上の存在へと押し上げています。


白いレザーに走るトリコロールは、フランス製ならではの美学を体現しながら、同時に時代を超えて語り継がれるカルチャーの物語を宿しています。

スポーツと音楽、その二つを結ぶ象徴的なプロダクトとして、この稀少なadidasの一足をコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

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商品状態
Vintageアイテムらしい非常に雰囲気のある個体です。
ソール硬化はなく、まだまだ普段履きしていただける状態です。
そのほかのコンディションは写真にてご確認ください。
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