Brand : Fay
Material : Cotton 100%
Color : Brown
Size: unknown
Model：175cm 65kg


イタリアの高級グループ〈Tod’s Group〉の一員として1980年代に誕生したFay。
兄弟ブランド〈Tod’s〉が革靴やバッグを通して“上質な日常”を体現したのに対し、Fayは“機能をもつ都会服”を掲げ、クラシックとワーク、ラグジュアリーと実用を横断する新しいイタリアンウェアの方向性を示しました。


ブランドの出発点は、Tod’s創業者ディエゴ・デッラ・ヴァッレがアメリカの消防士用ジャケットに着想を得たことに始まります。
強靭なキャンバスに金属製のフックを備えたその構造を、イタリアの職人技で再構築したのがFayのアイコン「4 Ganci（クアトロ・ガンチ）」シリーズ。

以後、90年代から2000年代にかけてイタリア国内では確固たる地位を築き、知的なワークウェアの象徴として、Loro PianaやAllegriと並ぶ存在となりました。
しかし日本市場では当時ほとんど展開がなく、現在も古着市場での流通は極めて少ない稀有なブランドです。

本作は、そのFayが最も完成度を高めていた2000年代中盤のモデル。

特徴的なのは、ブランドの象徴である金属フックを喉元の一点にだけ残した“1 Gancio”仕様。

4 Ganciほどの無骨さを抑え、より都会的でテーラードライクな印象を持たせています。
素材には中〜太畝のコットン・コーデュロイを採用。深いダークブラウンが光を柔らかく吸い込み、経年によってさらに艶を増す上質な生地感です。


襟にはチンストラップが付き、防風性を確保しつつスタンドカラーの端正な立ち上がりを演出。
胸の斜めウェルトポケットと腰のフラップポケットは、ワークウェアの実用構造を残しながらもミニマルに整えられています。
ボタンはフロント5つ配列で、最上段のフックが象徴的なアクセントとなり、機能美と装飾の境界を曖昧にするFayの哲学が感じられます。
裏地はグレーのポリエステルツイルで、袖通りが滑らか。赤のハンギングテープがさりげなく差し色として機能し、見えない部分にまで洗練を宿します。


Fayが追求したのは、ミラノやローマに暮らす知的階層に向けた“機能的エレガンス”。
つまり、自然環境や都市の気候に対応する機能を持ちながら、装いとしての完成度を犠牲にしない服。
その思想は、同時期のLoro Piana “Storm System”やHermès Hommeと同様、90年代以降の“Quiet Function”という概念に通じています。
特にこのモデルは、テーラードジャケットの上から羽織ってもシルエットが崩れず、ビジネスとカジュアルの中間点に立つ設計。日常における「機能と理性の調和」を最も美しく体現しています。



Fayのアウターには、ワークウェアの骨格と、サルトリアの緻密な縫製が共存しています。
このコーデュロイジャケットも例外ではなく、太畝の立体感と精密なステッチワークの均整が見事。
素材の厚みを制御するピッチ幅、ポケット角の補強、ガンチョ受けのレザーパッチのカーブまで、すべてが理性的に構築されています。
量産品でありながら、職人の気配が漂うのは、この時代のFayが持つ真の価値。


現行の「Fay Archive」ラインにも見られる通り、ブランドは近年再評価の波を迎えていますが、当時のこの構造と素材の厚みは現在では再現困難。
クラシックなフィールドコートの文脈を踏まえつつ、都市での装いに適応させた「知性のワークウェア」と言える一着です。


深いブラウンの畝が生む重厚さと、金具の機能美。
ワークでもなく、ラグジュアリーでもなく、あくまで“現代を生きる服”としてデザインされた、Fay黄金期のプロダクトです。

Measurement : サイズ情報

表記:unknown (日本メンズサイズ L〜XL相当)
平置き採寸 : 肩幅 50cm 身幅 60cm 着丈 76cm 袖丈 61cm

Condition :商品状態

若干の着用感が見られますが、目立ったダメージのないグッドコンディション。

Attention

・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。

・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。

・Vintage商品の為、使用感や経年劣化がある場合がございます。
ご購入後の返品・交換は受け付けておりませんのでVintage商品にご理解のある方のみご購入をお願い致します。

・商品の色味は出来る限り肉眼で見た場合に近いよう調整しておりますが、お手元のブラウザによって見え方が変わることがあります。

他にも商品に関するご質問があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。