Brand : GUCCI
Color : Lime Green
Material : Wool 80%/Cashmere 20%
Size : 42
Model : 158cm 45kg

1980年代後半。
イタリアのファッションは、クラシックからモードへと大きく動き出した時期でした。
その流れの中でGUCCIは、伝統的なエレガンスを守りながらも、
“構築”という言葉に新しい意味を与えようとしていました。


本作は、まさにその転換期を象徴するプロダクトです。
素材はウール80%、カシミヤ20%。
軽やかでありながらハリのあるメルトン地を用い、
パッドを用いずして肩の立体感を生み出す――
この構造こそが80年代GUCCIを語る上で最も重要な要素です。



ラグランに見えるショルダーラインは、
実際には肩山から袖ぐりへと緩やかに立ち上がる曲線で形成され、
着ると自然に「前へ張り出す」ような力強いフォルムを描きます。
それは“構築的”でありながら、どこか有機的でもある。
仕立てと素材の緊張関係で造形された「パッドレス・パワーショルダー」。
80年代GUCCIの美意識が、ここに凝縮されています。

ネック・裾・袖口のリブは、グリーン×ブルーの配色による細ピッチのニット。
メタルのOリングジップとともに、当時の「リュクス・スポーツ」への憧れを示しています。
ブルゾンというカジュアルな形に、テーラードの精密さを宿らせる。
それがこの時代のGUCCIが試みた挑戦でした。



発色もまた、80年代の空気を象徴しています。
ライムグリーン――蛍光的でありながら、カシミヤの光沢によってどこか柔らかく沈む色。
人工的な鮮やかさの中に、自然光のゆらぎを感じさせる。
そのバランス感覚こそ、GUCCIが他のラグジュアリーブランドと一線を画した理由です。


そして今。
2025年のコレクションでは、多くのブランドが再び“80年代”を引用しています。
構築的な肩、鮮やかな発色、合繊と天然素材の対話。
GUCCI自身も、その流れの中で過去のアーカイブを再解釈する動きを見せています。

しかし、このブルゾンが放つ迫力は、そうした再現や引用とは異なる“生の時代性”です。
それは、当時の空気そのものが布地の中に息づいているから。
デザインとしてのノスタルジーではなく、
モードの構造が変わろうとしていた瞬間のエネルギーをそのまま閉じ込めているのです。

1980年代GUCCIの服づくりは、決して派手さではなく、
「素材の張り」「縫製のテンション」「人の手の誤差」で形を作るものでした。
工業化の前夜に生まれた最後の手仕事的モード。
そこには、ミシンの一針一針が生地を押し上げ、形を立たせるという、
今では失われた構築の感覚が宿っています。

現代の80’sリバイバルが、コンセプトやシルエットの再構築にとどまるのに対して、
このブルゾンは“当時の理屈”を持たない。
ただ自然に、仕立てによって形が立ち上がっている。
その無意識の構築美こそが、最大の魅力です。

recollectionでは、
この一着を「時代のエネルギーをそのまま纏う80年代GUCCI」としてご紹介します。
当時の空気と、今のムードが響き合う瞬間をぜひ感じてください。

Measurement : サイズ情報

表記 : 42 (日本メンズサイズ M相当 レディースL-XL相当)
平置き寸法 : 身幅 56cm 着丈 52.5cm 裄丈 86cm

Condition :商品状態

左袖に僅かなシミが見られますが、着用時には目立たない程度のものとなっております。
写真にてご確認ください。

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