Brand：Ballantyne
Color：Ultra Marine
Material : SEa Island Cotton 100%
Size：3
Model:175cm 65kg


BallantyneがSea Island Cottonでここまで“肉厚な構築”を行ったニットは、
非常に珍しい存在です。
通常、この超長綿はその繊維の細さと油脂分の豊かさから、
ハイゲージに編み上げて光沢を引き出すために用いられます。
しかしこの個体では、あえて太番手の糸を強撚で使い、
ウールのような立体感と反発力を持つリブ構造に仕上げている。


素材は100% Sea Island Cotton。
カリブ海の限られた地域でのみ採取されるこの綿は、
一本一本の繊維が驚くほど長く、丸く、そしてしなやか。
その糸を高密度に編み上げることで、表面は滑らかでありながら、
指で押すとゆっくりと沈み込むような弾力を生み出しています。
柔らかいのに強い——
この矛盾を両立できるのは、Ballantyneのテンション管理の精度ゆえです。


編みは太めのリブピッチ。
縦方向に走る陰影が強調され、ボディラインを自然に立体化させます。
特にVネックのリブの収まり方が見事で、
リブの流れが首から胸元へと自然に落ちていく。
その縁には、バーガンディの補強糸が一本だけ走り、
構造を安定させながら、視覚的なアクセントにもなっています。
この“赤の差し込み”も、機能と意匠を重ねるBallantyneらしい美学です。

裾と袖口のテンションは強め。
伸びやすいコットンでありながら、
型崩れを防ぐように計算された強リブ仕上げ。
リブ部分の編み密度がボディより高く設定されており、
長年の着用にも耐えるよう設計されています。

そして面白いのは、このニットが「チルデンスタイル」を基調としながらも、
どこかブルゾンのような存在感を持っている点です。
Vネックの構造、太リブの厚み、リズムのある編み目——
それらがクラシックなチルデンセーターを
より建築的な構造物へと変換している。
Ballantyneが2000年代初頭に試みた「季節を超えるニットウェア」、
その代表的な成果といえるでしょう。



背景には、90年代後半から2000年代初頭にかけての
“オールシーズン・ラグジュアリー”という流れがあります。
カシミヤだけでなく、コットンやシルクを素材に取り入れ、
通年で着られるラグジュアリーニットを提案する動き。
Ballantyneはその中でも特に完成度が高く、
このSea Island Cottonシリーズでは、
「軽さの中の構築」という新しい方向性を提示しました。


肉厚でありながら、手に取ると軽い。
強いリブ構造を持ちながら、身体に沿う柔らかさを備える。
その両立は、単なる技術ではなく“糸の哲学”によって成立しています。
糸を知り尽くした職人が、素材を“どう鳴らすか”を理解している。
この一着には、その知性と経験が詰まっています。


バーガンディの細縁とネイビーの深い発色が織りなす対比も美しく、
光の角度でわずかに艶を放つ。
それは染料ではなく、Sea Island Cottonそのものが持つ油脂の輝き。
糸が光を反射するというより、吸い込んで返すような艶。


クラシックな意匠を守りながら、
素材と構造の両面から新しい美を導き出したBallantyne。
その成熟した実験精神が宿る、
2000年代初頭スコットランド製の希少なアーカイブです。

Measurement : サイズ情報

表記： 3 (日本メンズサイズ L相当)
平置き採寸: 肩幅 52cm 身幅 66cm 着丈 70cm　袖丈 62cm

Condition :商品状態

コットンのフェード感こそ見られますが、リブのテンションもしっかりとかかっていて目立ったダメージのないグッドコンディションです。

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