Brand : Italian Vintage
Material : Silver 925
Size : 全長：22.5cm,重量：20.4g
Model：手首周り16cm

金属でありながら、有機的な柔らかさを感じる。
このブレスレットを手にした瞬間にまず驚かされるのは、その“動き”です。
ひとつひとつのリンクが、まるで呼吸するようにわずかに揺れ、肌の上で静かに馴染む。

構造を見れば、楕円形のリンクが交互に噛み合う独特のリズムを持っています。
単なるチェーンではなく、二重の輪が流体のように重なり合い、立体的な陰影を描く。
整然としながらも、どこか自然の摂理に近い不均衡を孕んでいる。
そのわずかな揺らぎこそが、このブレスレットを造形として生かしているのです。

素材はSilver925。
中空ではなく、しっかりと密度を感じるソリッドな構造。
しかしリンクの断面は絶妙に丸く仕上げられ、金属の硬さを抑えながら、表面に柔らかな光を走らせます。
長年の着用を経ても鈍く沈まず、研ぎ澄まされた鈍色（にびいろ）を保つのは、良質な925シルバーならではの特権。

時代的には1990年代後半から2000年代初頭の制作と見られます。
クラスプの仕様が大きな手がかりです。
この時期、ヨーロッパのジュエリー市場では「スプリングリングクラスプ」の大型化が進み、単なる機能部ではなくデザインの一部として前面に出す手法が多く見られました。
本作もその流れを汲み、円環状の留め具が造形として完結している。
小さなパーツにすら美意識が宿る、職人仕事の系譜を感じさせます。

また、リンクの造形に微妙な“歪み”があるのも注目すべき点です。
完全な機械成形ではなく、手作業による微細な圧力調整で仕上げられている可能性が高い。
だからこそ、光の反射に揺らぎが生まれ、動きに伴って陰影が変わる。
そこには、工業品にはない“人の痕跡”が確かに残っています。

装着すると、その密度感が心地よく伝わります。
細すぎず、重すぎず、ただ静かに存在を主張する。
手首の上で音を立てずに滑るこの感覚は、量産品では得難い。
シャツやスウェットの袖口から覗かせても嫌味がなく、ジャケットスタイルにも自然に溶け込む。

過去をなぞるだけのヴィンテージではなく、
“現代に通じる造形”としての完成度を持つ一本。
モードにもクラシックにも触れることができる、まさに「中庸の美」がここにあります。

派手ではない。だが、記憶に残る。
そんな言葉が、最も似合うブレスレットです。

Condition :商品状態

年代物らしい雰囲気を放つ。
ヴィンテージの風合いとしてお楽しみください。

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