Brand : EMPORIO ARMANI
Size : Unknown
Color : Brown
Material : Outer / Inner 100% Sheepskin (Shearling)
Model：175cm 65kg

1980年代後半から90年代初頭にかけての EMPORIO ARMANI は、
「テーラリングのブランドが、本気でデイリーアウターを作るとどうなるか」
という実験を続けていた時期でした。

本作は、その時代の空気を色濃く残したムートンダッフルコートです。
ネイビー地に白ロゴとゴールドのイーグルが入る初期 EMPORIO タグ、
円形に「EMPORIO ARMANI」と刻印されたボタン、
ムートンでここまで凝ったフード構造を持つデザインなどから、
1989〜1992年頃のプロダクトと判断しています。


素材は、表側がフルグレインのシープスキン、裏側は密度の高いシアリング。
いわゆる“表革に裏ボアを貼ったコート”ではなく、
1枚のムートンを贅沢に使った本格的なシアリングコートです。
着てみるとすぐに分かりますが、空気を含んだ毛足が身体を包み込み、
室内に入ると逆に蒸れにくい――
本物のムートンにしか出せない温度調整の上手さがあります。

構造も非常に凝っています。
構造面も非常に凝っています。
フロントはウッドトグルを使った3点留めのダッフル仕様。
トグルの紐は太番手のウールコードで、付け根にはレザーパッチ＋Xステッチの補強。
日常で使うことを前提に作られた強度で、実用と意匠がきちんと同居。

ヘビーデューティなディテールですが、
ダッフルコートとしての見た目はあくまで端正で、
EMPORIO らしい都会的なニュアンスがしっかり残されています。


フロント両脇には斜めのジップポケット。
真鍮色のメタルジップとレザーの引き手が付き、
ハンドウォーマーとしても機能する角度に設計されています。
袖口はムートンをロールさせた見返し仕様で、
手首からの風をしっかりと遮りながら、
ムートンならではのボリュームがさりげないアクセントになっています。

そして、このコート最大の特徴が“フードの設計”。
背中の上半分を大きく覆うムートンパネルに、ぐるりとジップが走る構造は、
N-2B や N-3B など米軍フライトジャケットのフードシステムを
シアリングで再構築したようなアプローチ。
寒冷地用アウターの合理性をそのまま取り込みつつ、
EMPORIO らしい都会的なバランスへと落とし込んでいます。
単にフードが着脱できるだけではなく、
外した際にはジップのラインが背面の切り替えとして機能するデザイン性も兼備。



ムートンコートは、素材コスト・重量・縫製の手間のどれを取っても
量産に向かないアイテムです。
同じ時代のウールコートに比べても、現存数は圧倒的に少なく、
コンディション良好なものとなるとさらに数が限られます。
その中で、テーラリングを得意とするアルマーニが手掛けた
フルシアリング仕様のダッフルコートは、
単なる防寒着というより「一枚で完結するギア」に近い存在です。

着用すると、ムートン特有の重量感こそありますが、
アームホールや身幅にゆとりを持たせた設計のため、
動きにくさはほとんど感じません。
ニットの上から羽織るだけで真冬の街を過ごせる保温力を持ちながら、
シルエットはストレート気味で、
ボリュームのあるブーツから細身のデニムまで難なく受け止めてくれます。

EMPORIO ARMANI のレザー／ムートンは、
テーラードラインほど語られることは多くないですが、
実際に見て触ると、
「素材の良さ」と「都市生活でのリアリティ」のバランスが非常に高い。
このコートは、その魅力が最も分かりやすい形で凝縮された一着です。

80’s〜90’s アルマーニの世界観が好きな方はもちろん、
“本当に暖かいアウターを一枚”探している方にも、
ぜひ袖を通していただきたいムートンコートです。

Measurements：サイズ情報

Size : （日本メンズサイズ L程度）
平置き採寸 : 着丈 90cm 身幅 61cm 肩幅 60cm 袖丈 61cm

Condition :商品状態

フードの着脱部分にロープ切れが一箇所、
ボタン欠けが二箇所ございます。
下記の写真にてご確認ください。

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