Brand : JIL SANDER
Material : Wool 49& Cotton 48% Elasthan 3%
Color : Charcoal Gray
Size: R48
Model : 175cm 65kg


2011〜2013年のJil Sanderは、ブランドの歴史でも特別な時間でした。
クリエイティブ・ディレクターとしてJil本人が復帰し、
「流行から距離を置いた、本質に向かう衣服をつくる」という姿勢をはっきりと打ち出した時期です。

当時、本人が Vogue や W Magazine のインタビューで語っていたキーワードは
“purity（純度）” “truth（真実性）” “construction（構造）”。

華美な装飾を排しながらも、衣服としての精度を極限まで高めるという姿勢が随所に見られます。

本作はその思想を、これ以上ないほど明確に形にしたテーラードジャケットです。




まず目を奪われるのは、素材の選び方です。
ウール49% × コットン48% × エラスタン3%。
一見するとアンバランスな配合ですが、これが“立体的なラインを作りつつ、素材の柔軟性を失わない”という絶妙なバランスを成立させています。

ウールのハリ、コットンのマットな質感、そしてエラスタンのわずかな伸縮。
それぞれが互いを邪魔せず、身体の動きに追従しながら美しいシルエットを保ちます。


肩周りはほぼ自然な傾斜で、薄手のパッドがわずかに線を整える程度。
Jil本人復帰期のジャケットで頻出する“ニュートラルショルダー”で、
着用者の骨格によって印象が変わり、動作によって形が微細に表情を変えていきます。


身頃のダーツは長く、前身頃の縦の線がしっかり効いています。
これにより、ウエストの位置が自然に決まり、絞り込まずとも立体感を宿します。
ミニマルな外観の中に宿るこの立体性こそ、当時のJil Sanderが最も重視した“構造の美学”そのものです。



フロントは2ボタン。
袖は3ボタンで、ボタンの間隔はやや狭め。
この構成は2011〜2013年のジャケットに特に多く見られる仕様で、Raf Simons期の4ボタン袖とは明確に異なります。
可動域を妨げず、視覚的にも重心が下に落ちない。シンプルでありながら、精密に計算された配置です。

裏側を見ると、このジャケットが“構造の精度で魅せる服”であることがはっきりとわかります。
パイピングの処理、縫製線の角度、ダーツの入り方、裏地のテンション。
どこを見ても隙がなく、曲線の合流点には乱れがありません。
「裏返しても美しい」というテーラリングの理想が、この一着では現実になっています。





なぜ、ここまで削ぎ落とされているのに、強い存在感を放つのか。
理由は単純で、ディテールを消したのではなく「設計の精度を上げている」からです。
ラインと構造そのものがデザインになっているため、装飾がなくても視線を引き寄せる。
これは、2010年代前半のJil Sander復帰期ならではの魅力です。


大量の要素を与えるのではなく、最小限の構成要素に集中し、
その一つ一つを極めることでオーラを生み出す。
まさに「純度の高いテーラリング」が体現されたジャケットです。


日常のワードローブに取り入れた瞬間に、その意味がわかるはずです。
余計な重さはなく、線の強さだけが残り、立ち姿に品格が宿る。
Jil Sander本来の価値を理解している人ほど、その深さを実感できるプロダクトです。

Measurement : サイズ情報

表記 : R48（日本メンズL相当）
平置き採寸 : 肩幅 48cm 身幅 55cm 袖丈 64cm 着丈 75cm

Condition :商品状態

目立ったダメージのないグッドコンディション。

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