Brand : Ermenegildo Zegna × SICONS
Color : Blue Gray
Material : Leather 100%
Size :
Model : 175cm 60kg

1980年代後半のイタリアは、レザーアウターというカテゴリーにおいて、素材・技術・生産背景のすべてが豊かな時代でした。
原皮の品質、なめしの技術、職人が集まるファクトリーの存在。
どれもが高い水準で揃っていたからこそ、当時のイタリア製レザーにはいま見ても圧倒される魅力があります。


この“Ermenegildo Zegna × SICONS”のハイブリッドフライトジャケットは、その時代性をそのまま形にした一着と言えるものです。




まず、素材を担っているのがZegnaであること。
この時代からすでにZegnaはウールだけでなく、レザーの分野でも高品質な原皮を扱っていました。
シープスキンであっても厚み・柔らかさ・銀面の均質性が揃い、経年しても美しい表情を残す素材を厳選していたのが特徴です。
本作に使われているシープスキンも、銀面の細かな皺、マットに粉を吹くような退色、袖のしなり方から、そのクオリティがはっきりと読み取れます。



そして、製造を担当しているのがレザーファクトリーのSICONS。
Armani、Zegna、VersaceなどのOEMを手がけた実力派の工房で、特にレザーアウターの縫製には定評がありました。
厚手シープスキンという扱いの難しい素材にも関わらず、前立て、袖付け、襟周りに乱れのないステッチワークが走り、負荷のかかる箇所には補強がしっかり入る。
80年代のイタリア工房ならではの“必要な強度を知っている縫い方”が随所に見られます。


デザインの軸となっているのは、B-3フライトジャケットの構造です。
大型ムートン襟、内側全面のボア、チンストラップ。極寒の航空装備として生まれたB-3の合理性をしっかりと踏襲し、その防寒力を最大限活かしています。
内側に配されたグリーンの羊毛ボアは密度が高く、押してもすぐに復元する弾力がある。
さらに肩や上部にはワインレッドのキルティングを重ね、保温性を一段高めています。
この“二重構造のインナー”は80年代の重衣料に時折見られる仕様で、まさにその時代の空気を物語っています。


一方で、このジャケットが特別なのは、B-3の構造にライダースの実用性が重ねられていることです。
袖口のジップ、胸の縦ジップポケット、ダブルジップの前立て。これらは完全にモーターサイクルジャケットの文脈に属するディテールです。
ギアウェアとしての方向性が異なる二つのカテゴリーを、ズレなく一つのデザインへ成立させている点が圧巻です。





素材はZegna、仕立てはSICONS。
そのうえで、B-3とライダースが混ざり合うこのデザイン。
1980年代のイタリアという“レザーの黄金期”の特性が重なり合ったからこそ成立した、稀有なプロダクトです。

現代のプロダクトでは、コストや効率の問題からなかなか辿り着けないレベルの作り込みです。革の厚み、縫製の精度、インナー構造、金具の選定。そのすべてが妥協なくまとめられた重衣料としての説得力。この時代の空気を纏ったレザーアウターには、単なるヴィンテージ以上の価値が宿っています。

唯一性と存在感を備えた一着として、スタイリングにも重みを加えてくれるはずです。素材の迫力を楽しみながら、80年代イタリアの“本気のレザーアウター”という文脈ごと味わっていただければと思います。


Measurements：サイズ情報

表記: 48（日本メンズサイズL相当）
平置き寸法 : 身幅 58cm 肩幅 56cm 着丈 69cm 袖丈 62cm

Condition：商品状態

レザーのあたり、ライニング上部の破れ
袖ジッパーのつまみ、背面アジャスターボタン一箇所の欠損があります。
写真にてご確認ください。

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