[1981's] "Levi's" 501 Denim Trousers With Red Line (made in USA)
Brand : Levi's
Color : indigo
Material : cotton
Size: W35 L32
Model : 175cm,65kg
イタリアの街角でこの501に出会ったとき、私の胸に去来したのは、かつて抱いていた「古着」への執着に対する、ある種の気恥ずかしさでした。
以前の私は、ヴィンテージデニムを単なる「希少性」や「年代の古さ」という記号でしか見ていなかったように思います。しかし、石畳の街並みに溶け込むこの一本を手にした瞬間、そんな安直な物差しはどこかへ消えてしまいました。そこにあったのは、長い年月を経て完成された、あまりにも純粋な「ファッションピース」としての姿だったからです。
今回ご紹介するのは、1981年11月にアメリカ、テキサス州のエルパソ工場で生産された、通称「赤耳」モデルのリーバイス501です。
501の歴史を俯瞰すると、1980年代前半という時期がいかに劇的な転換点であったかが分かります。
1970年代までの「66モデル」以前の時代、デニムはまだワークウェアとしての荒々しさと、インディゴの深い陰影を強く残していました。一方で、1980年代半ば以降になると、生産効率を極限まで追求した「レギュラー」モデルへと移行し、大量生産の波の中でその表情は均一化されていきます。その狭間の数年間、1981年から1986年頃まで製造されていたのが、この「赤耳」と呼ばれるモデルです。
最大の特徴であり、私たちが今なお惹きつけられる理由は、裾の裏側にひっそりと残された「セルビッジ」に集約されています。これは、旧式のシャトル織機を使用して織られた証に他なりません。当時のリーバイスは、最新の高速織機への切り替えを進めていました。効率を優先すれば、生地の端を処理する必要のない「インターロック」仕様へと舵を切るのは、企業として必然の選択だったのでしょう。
しかし、旧式シャトルで織られた生地には、現代の機械では決して再現できない「質感の揺らぎ」が宿っています。低テンションでゆっくりと織り上げられたデニムは、不規則な凹凸を持ち、それが穿き込むことで奥行きのある表情へと変わっていく。この個体が纏っている、吸い込まれるようなアイスブルーのフェードも、そんな古い織機と歳月が共謀して作り上げた芸術品なのです。
この個体をさらに深く読み解く鍵は、トップボタン裏の刻印にあります。刻まれた「524」という数字。
これは、テキサス州エルパソ工場の製造であることを示しています。
エルパソ工場は、かつて数々の名作501を生み出し、ヴィンテージ愛好家から「66モデルの聖地」とも称された旧6番工場の系譜を継ぐ名門です。
1980年代に入り、工場番号が3桁へと移行した際、エルパソ工場に割り振られたのが「524」でした。つまりこの一本は、70年代の職人魂と技術をそのままに、80年代という新しい時代の空気感を吹き込まれて誕生した、歴史の地続きにある作品なのです。
内側のケアタグに記された「524 11 1」の印字。これは1981年11月の製造であることを明確に物語っています。赤耳モデルが産声を上げたばかりの最初期の個体であり、タグにはまだ「Shrinks about 10%(収縮率10%)」の文字が誇らしげに残っています。洗うたびに自分の体に寄り添うように歪み、形を変えていく。そんな「Shrink-to-Fit」の醍醐味を、当時の人々はこの501を通して味わっていたのでしょう。
画像で確認いただける通り、右のバックポケットには大きな破れが生じています。以前の私なら、これを単なる「ダメージ」として敬遠していたかもしれません。しかし、今の私にとって、この欠損は前の持ち主が過ごした時間の集積であり、この一本が歩んできた物語のハイライトに見えます。
あえてリペアを施さず、このままの姿で提案したい。そう思わせるだけの説得力が、このアイスブルーの生地には備わっています。裾に見られるチェーンステッチのうねり、ところどころに付着した汚れの痕跡。そのすべてが、この501を世界に二つとない「アーカイブ」へと昇華させています。
この501をどのように今の生活に取り入れるべきか。私がイタリアで感じた直感に従うならば、それは「最高の素材との対比」を楽しむことに尽きます。
「珍しいから」「古いから」という言葉でこのデニムを語ることは、もしかしたらこの一本の本質を見誤らせてしまうかもしれません。
かつて誰かの生活を支え、イタリアの石畳を歩き、そして今、海を越えて皆さまの前に届いたこの501。効率化が進む世界で、あえて旧式シャトルの質感を愛でるということ。それは、効率や合理性だけでは測れない、豊かな価値観を選択することでもあります。
この1981年製の501が、皆さまの日常において、新たな物語を紡ぎ出すことを心より願っております。
Measurements:サイズ情報
表記:W35 L32 (日本メンズサイズ相当)
平置き寸法:ウエスト84cm 股上 29cm 股下77cm ワタリ幅27cm 裾幅21cm
Condition:商品状態
Vintageデニムならではのダメージ感やフェード感、
ヒップポケットのダメージがございます。写真にてご確認ください。
Attention
・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。
・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。
・Vintage商品の為、使用感や経年劣化がある場合がございます。
ご購入後の返品・交換は受け付けておりませんのでVintage商品にご理解のある方のみご購入をお願い致します。
・商品の色味は出来る限り肉眼で見た場合に近いよう調整しておりますが、お手元のブラウザによって見え方が変わることがあります。
他にも商品に関するご質問があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。
Brand : Levi's
Color : indigo
Material : cotton
Size: W35 L32
Model : 175cm,65kg
イタリアの街角でこの501に出会ったとき、私の胸に去来したのは、かつて抱いていた「古着」への執着に対する、ある種の気恥ずかしさでした。
以前の私は、ヴィンテージデニムを単なる「希少性」や「年代の古さ」という記号でしか見ていなかったように思います。しかし、石畳の街並みに溶け込むこの一本を手にした瞬間、そんな安直な物差しはどこかへ消えてしまいました。そこにあったのは、長い年月を経て完成された、あまりにも純粋な「ファッションピース」としての姿だったからです。
今回ご紹介するのは、1981年11月にアメリカ、テキサス州のエルパソ工場で生産された、通称「赤耳」モデルのリーバイス501です。
501の歴史を俯瞰すると、1980年代前半という時期がいかに劇的な転換点であったかが分かります。
1970年代までの「66モデル」以前の時代、デニムはまだワークウェアとしての荒々しさと、インディゴの深い陰影を強く残していました。一方で、1980年代半ば以降になると、生産効率を極限まで追求した「レギュラー」モデルへと移行し、大量生産の波の中でその表情は均一化されていきます。その狭間の数年間、1981年から1986年頃まで製造されていたのが、この「赤耳」と呼ばれるモデルです。
最大の特徴であり、私たちが今なお惹きつけられる理由は、裾の裏側にひっそりと残された「セルビッジ」に集約されています。これは、旧式のシャトル織機を使用して織られた証に他なりません。当時のリーバイスは、最新の高速織機への切り替えを進めていました。効率を優先すれば、生地の端を処理する必要のない「インターロック」仕様へと舵を切るのは、企業として必然の選択だったのでしょう。
しかし、旧式シャトルで織られた生地には、現代の機械では決して再現できない「質感の揺らぎ」が宿っています。低テンションでゆっくりと織り上げられたデニムは、不規則な凹凸を持ち、それが穿き込むことで奥行きのある表情へと変わっていく。この個体が纏っている、吸い込まれるようなアイスブルーのフェードも、そんな古い織機と歳月が共謀して作り上げた芸術品なのです。
この個体をさらに深く読み解く鍵は、トップボタン裏の刻印にあります。刻まれた「524」という数字。
これは、テキサス州エルパソ工場の製造であることを示しています。
エルパソ工場は、かつて数々の名作501を生み出し、ヴィンテージ愛好家から「66モデルの聖地」とも称された旧6番工場の系譜を継ぐ名門です。
1980年代に入り、工場番号が3桁へと移行した際、エルパソ工場に割り振られたのが「524」でした。つまりこの一本は、70年代の職人魂と技術をそのままに、80年代という新しい時代の空気感を吹き込まれて誕生した、歴史の地続きにある作品なのです。
内側のケアタグに記された「524 11 1」の印字。これは1981年11月の製造であることを明確に物語っています。赤耳モデルが産声を上げたばかりの最初期の個体であり、タグにはまだ「Shrinks about 10%(収縮率10%)」の文字が誇らしげに残っています。洗うたびに自分の体に寄り添うように歪み、形を変えていく。そんな「Shrink-to-Fit」の醍醐味を、当時の人々はこの501を通して味わっていたのでしょう。
画像で確認いただける通り、右のバックポケットには大きな破れが生じています。以前の私なら、これを単なる「ダメージ」として敬遠していたかもしれません。しかし、今の私にとって、この欠損は前の持ち主が過ごした時間の集積であり、この一本が歩んできた物語のハイライトに見えます。
あえてリペアを施さず、このままの姿で提案したい。そう思わせるだけの説得力が、このアイスブルーの生地には備わっています。裾に見られるチェーンステッチのうねり、ところどころに付着した汚れの痕跡。そのすべてが、この501を世界に二つとない「アーカイブ」へと昇華させています。
この501をどのように今の生活に取り入れるべきか。私がイタリアで感じた直感に従うならば、それは「最高の素材との対比」を楽しむことに尽きます。
「珍しいから」「古いから」という言葉でこのデニムを語ることは、もしかしたらこの一本の本質を見誤らせてしまうかもしれません。
かつて誰かの生活を支え、イタリアの石畳を歩き、そして今、海を越えて皆さまの前に届いたこの501。効率化が進む世界で、あえて旧式シャトルの質感を愛でるということ。それは、効率や合理性だけでは測れない、豊かな価値観を選択することでもあります。
この1981年製の501が、皆さまの日常において、新たな物語を紡ぎ出すことを心より願っております。
Measurements:サイズ情報
表記:W35 L32 (日本メンズサイズ相当)
平置き寸法:ウエスト84cm 股上 29cm 股下77cm ワタリ幅27cm 裾幅21cm
Condition:商品状態
Vintageデニムならではのダメージ感やフェード感、
ヒップポケットのダメージがございます。写真にてご確認ください。
Attention
・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。
・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。
・Vintage商品の為、使用感や経年劣化がある場合がございます。
ご購入後の返品・交換は受け付けておりませんのでVintage商品にご理解のある方のみご購入をお願い致します。
・商品の色味は出来る限り肉眼で見た場合に近いよう調整しておりますが、お手元のブラウザによって見え方が変わることがあります。
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