recollection vintage

[2004AW] "HELMUT LANG" 10-Button Pea Coat (Designed by Helmut Lang / Made in Italy)

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Brand : HELMUT LANG
Material : 50% Acrylic/30% Wool/20% Polyester
 Lining: 52% Rayon, 48% Cupro
Color : Black
Size: 50
Model:175cm 65kg

2005年の初めにヘルムート・ラング本人がブランドを退任する前、最後のウィンター・ランウェイとなった2004年秋冬のパリ・コレクション。
この10ボタンのPコートは、そのショーの中盤で実際にモデルが纏って歩いた一着です。1999年にPRADAグループと手を組み、イタリアの熟練した工場を背景に服作りを行っていた時期の集大成でもあります。

直前のシーズンまで見られたパラシュートハーネスや複雑なレイヤードから一度距離を置き、ラング自身の原点であるストイックなテーラリングへと立ち返ったこの2004AWは、当時の『VOGUE』のレビューでも、レトロ趣味を置き去りにする確信に満ちた実用主義として高く評価されました。



このシーズンの面白さは、徹底して削ぎ落とされたクリーンなコートやジャケットの下に、反抗的なサブカルチャーの暗号をこっそり忍ばせていた点にあります。

着想源のひとつになったのが、スイスの写真家カールハインツ・ヴァインベルガーが1950年代から60年代にかけて撮影した、チューリッヒの不良少年たちのポートレートでした。
実際のランウェイルックでも、首元にタートルネックとスカーフを巻いてこの端正な黒のPコートを羽織りながら、その裾からはゴールドのベルトと、フロントフライに金属のチェーンを編み込んだ生デニムを覗かせていました。
規律ある制服の象徴であるPコートを、あえて不良的なデニムとぶつける。
当時の批評家が、HELMUT LANGの服を着ることはそこに隠された裏の文脈の共犯者になることだと評した通り、一筋縄ではいかない緊張感がこのコートの背景には流れています。





そもそも軍の放出品が持つ仕組みを調べ上げ、ハイファッションの土俵に持ち込むやり方は、80年代にKATHARINE HAMNETTが道を開き、90年代にHELMUT LANGが決定的なものにした手法です。

ラングが優れていたのは、古い軍服のマニアックなディテールを省略せずに残しながら、ミリタリー特有の土臭さや重たさをきれいに抜き去ってしまったところにあります。
このコートの形のもとになっているのは、1910年代から30年代頃のアメリカ海軍で採用されていた10ボタンの初期型Pコート。

第二次世界大戦に入って6ボタンや8ボタンに簡略化される前の、もっとも手の込んだ時代のモデルをベースに選んでいます。前身頃の下部に並んだ3段6個のボタンの上に、折り返したラペルのすぐ下に隠れる第4段目があり、さらに首元の第5段目まで続く合計10個のボタン配置。


普段ラペルを開けて着ているときは下の3段が整然と並び、その上のボタンが襟の陰から少しだけ顔を覗かせます。
風の強い日に襟を立てれば、ラペルに開いたボタンホールを反対側の首元のボタンに留めて、チンストラップなしで顎の下まで隙間なく閉じられる設計です。

襟裏や台襟には細かいステッチが何重にも叩き込まれ、襟を立てたときにも頼りなく倒れずに首まわりでしっかり自立します。
本来なら錨のマークが入る大きなボタンも、フチに「HL」の文字だけを小さく刻んだ平らな黒ボタンに変えられました。


そして何よりラングらしいのが、定石を外した表地の素材選びです。

冬のPコートといえば分厚く起毛したウールメルトンで作るのが普通ですが、このコートの表地には、アクリル50%・ウール30%・ポリエステル20%の混紡糸を高密度に織り上げたカルゼを採用しています。

ウールの分量をあえて3割に抑え、アクリルとポリエステルを7割掛け合わせることで、メルトン特有の重苦しさや表面の毛羽立ちをすっかり消し去っています。

天然素材と化学繊維を混ぜ合わせる手法は90年代からラングが最も得意としてきたアプローチであり、斜めに太い畝がくっきりと走る乾いた黒の生地が、襟のフチや前合わせのシャープな線を際立たせます。


さらに内側には、レーヨン52%・キュプラ48%の滑らかな裏地を使った中綿入りのダイヤモンドキルティングを総裏で張っています。
ハリのある高密度の表地で風を防ぎつつ、内側の中綿キルティングで暖かい空気を蓄える合理的な構造。

ずっしり重いメルトンを使わなくても真冬のアウターとして十分に暖かく、そのうえ厚手のニットやジャケットの上から羽織ったときに、レーヨンとキュプラの裏地が滑って引っかかりなく袖が通ります。


全体の形や細かい縫い方を見ていくと、軍物の防寒着ではなく、イタリアのテーラードジャケットと同じ手順で作られていることに気づきます。

本来の海軍Pコートは袖口に何もない筒袖で、身頃も寸胴な箱型をしていますが、このコートの袖口にはジャケットと同じ4つの重ねボタンが並び、ボタンホールのかがりまで丁寧に縫われています。
後ろ姿を見ても、背中心の縫い目だけでなく左右の脇にもパネルの切り替えを入れて、肩からウエストにかけて緩やかに絞ったあと、裾にセンターベントを切っています。


肩まわりの収まりや、腕の形に合わせて前振りにカーブした袖のラインなど、中身はドレスのジャケットそのもの。

だからランウェイのモデルのように前を開けてラフに羽織っても、Pコートによくある箱っぽい着膨れが起きません。

内側には右胸のポケットに加えて、左胸にボタン留めとファスナー付きのポケットが上下2段に並び、表のストイックな顔つきを崩さずに高い収納力を持たせています。
ハイゲージのタートルネックとスラックスで端正にまとめるのはもちろん、ランウェイのように癖のあるリジッドデニムやレザーベルトと合わせても様になる一着です。


Measurements:サイズ情報

表記 : 50(日本メンズ L相当)
平置き採寸 : 肩幅 47cm 身幅 55cm 着丈 76.5cm 袖丈 66cm

Condition:商品状態

ダメージのないグッドコンディションです。

Attention

・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。

・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。

・Vintage商品の為、使用感や経年劣化がある場合がございます。
ご購入後の返品・交換は受け付けておりませんのでVintage商品にご理解のある方のみご購入をお願い致します。

・商品の色味は出来る限り肉眼で見た場合に近いよう調整しておりますが、お手元のブラウザによって見え方が変わることがあります。

他にも商品に関するご質問があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。

Brand : HELMUT LANG
Material : 50% Acrylic/30% Wool/20% Polyester
 Lining: 52% Rayon, 48% Cupro
Color : Black
Size: 50
Model:175cm 65kg


2005年の初めにヘルムート・ラング本人がブランドを退任する前、最後のウィンター・ランウェイとなった2004年秋冬のパリ・コレクション。
この10ボタンのPコートは、そのショーの中盤で実際にモデルが纏って歩いた一着です。1999年にPRADAグループと手を組み、イタリアの熟練した工場を背景に服作りを行っていた時期の集大成でもあります。

直前のシーズンまで見られたパラシュートハーネスや複雑なレイヤードから一度距離を置き、ラング自身の原点であるストイックなテーラリングへと立ち返ったこの2004AWは、当時の『VOGUE』のレビューでも、レトロ趣味を置き去りにする確信に満ちた実用主義として高く評価されました。



このシーズンの面白さは、徹底して削ぎ落とされたクリーンなコートやジャケットの下に、反抗的なサブカルチャーの暗号をこっそり忍ばせていた点にあります。

着想源のひとつになったのが、スイスの写真家カールハインツ・ヴァインベルガーが1950年代から60年代にかけて撮影した、チューリッヒの不良少年たちのポートレートでした。
実際のランウェイルックでも、首元にタートルネックとスカーフを巻いてこの端正な黒のPコートを羽織りながら、その裾からはゴールドのベルトと、フロントフライに金属のチェーンを編み込んだ生デニムを覗かせていました。
規律ある制服の象徴であるPコートを、あえて不良的なデニムとぶつける。
当時の批評家が、HELMUT LANGの服を着ることはそこに隠された裏の文脈の共犯者になることだと評した通り、一筋縄ではいかない緊張感がこのコートの背景には流れています。






そもそも軍の放出品が持つ仕組みを調べ上げ、ハイファッションの土俵に持ち込むやり方は、80年代にKATHARINE HAMNETTが道を開き、90年代にHELMUT LANGが決定的なものにした手法です。

ラングが優れていたのは、古い軍服のマニアックなディテールを省略せずに残しながら、ミリタリー特有の土臭さや重たさをきれいに抜き去ってしまったところにあります。
このコートの形のもとになっているのは、1910年代から30年代頃のアメリカ海軍で採用されていた10ボタンの初期型Pコート。

第二次世界大戦に入って6ボタンや8ボタンに簡略化される前の、もっとも手の込んだ時代のモデルをベースに選んでいます。前身頃の下部に並んだ3段6個のボタンの上に、折り返したラペルのすぐ下に隠れる第4段目があり、さらに首元の第5段目まで続く合計10個のボタン配置。


普段ラペルを開けて着ているときは下の3段が整然と並び、その上のボタンが襟の陰から少しだけ顔を覗かせます。
風の強い日に襟を立てれば、ラペルに開いたボタンホールを反対側の首元のボタンに留めて、チンストラップなしで顎の下まで隙間なく閉じられる設計です。

襟裏や台襟には細かいステッチが何重にも叩き込まれ、襟を立てたときにも頼りなく倒れずに首まわりでしっかり自立します。
本来なら錨のマークが入る大きなボタンも、フチに「HL」の文字だけを小さく刻んだ平らな黒ボタンに変えられました。



そして何よりラングらしいのが、定石を外した表地の素材選びです。

冬のPコートといえば分厚く起毛したウールメルトンで作るのが普通ですが、このコートの表地には、アクリル50%・ウール30%・ポリエステル20%の混紡糸を高密度に織り上げたカルゼを採用しています。

ウールの分量をあえて3割に抑え、アクリルとポリエステルを7割掛け合わせることで、メルトン特有の重苦しさや表面の毛羽立ちをすっかり消し去っています。

天然素材と化学繊維を混ぜ合わせる手法は90年代からラングが最も得意としてきたアプローチであり、斜めに太い畝がくっきりと走る乾いた黒の生地が、襟のフチや前合わせのシャープな線を際立たせます。


さらに内側には、レーヨン52%・キュプラ48%の滑らかな裏地を使った中綿入りのダイヤモンドキルティングを総裏で張っています。
ハリのある高密度の表地で風を防ぎつつ、内側の中綿キルティングで暖かい空気を蓄える合理的な構造。

ずっしり重いメルトンを使わなくても真冬のアウターとして十分に暖かく、そのうえ厚手のニットやジャケットの上から羽織ったときに、レーヨンとキュプラの裏地が滑って引っかかりなく袖が通ります。



全体の形や細かい縫い方を見ていくと、軍物の防寒着ではなく、イタリアのテーラードジャケットと同じ手順で作られていることに気づきます。

本来の海軍Pコートは袖口に何もない筒袖で、身頃も寸胴な箱型をしていますが、このコートの袖口にはジャケットと同じ4つの重ねボタンが並び、ボタンホールのかがりまで丁寧に縫われています。
後ろ姿を見ても、背中心の縫い目だけでなく左右の脇にもパネルの切り替えを入れて、肩からウエストにかけて緩やかに絞ったあと、裾にセンターベントを切っています。


肩まわりの収まりや、腕の形に合わせて前振りにカーブした袖のラインなど、中身はドレスのジャケットそのもの。

だからランウェイのモデルのように前を開けてラフに羽織っても、Pコートによくある箱っぽい着膨れが起きません。

内側には右胸のポケットに加えて、左胸にボタン留めとファスナー付きのポケットが上下2段に並び、表のストイックな顔つきを崩さずに高い収納力を持たせています。
ハイゲージのタートルネックとスラックスで端正にまとめるのはもちろん、ランウェイのように癖のあるリジッドデニムやレザーベルトと合わせても様になる一着です。



Measurements:サイズ情報

表記 : 50(日本メンズ L相当)
平置き採寸 : 肩幅 47cm 身幅 55cm 着丈 76.5cm 袖丈 66cm

Condition:商品状態

ダメージのないグッドコンディションです。

Attention

・商品は一点物のVintageになる為、SOLDになった場合全く同じアイテムの再入荷はございません、予めご了承下さい。

・採寸方法により、若干の誤差がある場合がございます、予めご了承下さい。

・Vintage商品の為、使用感や経年劣化がある場合がございます。
ご購入後の返品・交換は受け付けておりませんのでVintage商品にご理解のある方のみご購入をお願い致します。

・商品の色味は出来る限り肉眼で見た場合に近いよう調整しておりますが、お手元のブラウザによって見え方が変わることがあります。

他にも商品に関するご質問があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。

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