イタリアを代表するラグジュアリーブランドの一つである“FENDI”。
そのクラフツマンシップや洗練されたデザイン、ユニークなクリエイティビティで広く知られています。

1925年、アデーレ・フェンディとエドアルド・フェンディが、ローマの中心地に創設した一軒の小さなブティックから始まります。
バッグやファーの専門工房を開き、人気のコレクションを次々と生み出し、瞬く間に国際的なファッションシーンでその名を馳せるようになります。

1965年には、20世紀後半から21世紀初頭にかけて、ファッション界へ多大なる影響を与えた、偉大なデザイナーの一人、カール・ラガーフェルドがメゾンへ参加。
その後、現代まで続くブランドの創造時代が幕を開けたのでした。

2000年には、ルイ・ヴィトン、ディオール、ティファニーといった錚々たるブランドを傘下に持つ、LVMHグループの一員となり、フェンディは更なるステージへと歩を進めました。

2020年には、ルイ・ヴィトンやディオールで大きな功績を残した、キム・ジョーンズがクリエイティブディレクターに就任しました。

そして、今回紹介するのは、カール・ラガーフェルドが手がけた一着。
彼のデザインは、クラシックな要素と現代的な感性を融合させるスタイルが特徴。
大胆な色使いや斬新なシルエット、そして異素材の組み合わせを得意としています。
2019年に亡くなるまで、50年以上にわたるキャリアを通じて、彼の遺産は多くのデザイナーやブランドに受け継がれ、今尚ファッション業界に深く刻まれています。

ざらっとした質感の、重厚感漂うヘリンボーンに編まれたニット。
マットな光沢感に包まれ、織地によって不規則に反射する光が艶かしい。
コットンナイロンのしなやかさによって、生み出されるドレープが見せる表情は、荘厳さすら感じます。

袖は裾かけてフレアがかかっており、優雅で大人な雰囲気に。
腕を動かすたびに、ひらひらと鰭のように揺らめく。

そして、何より目を惹くのは、生地の端に施された独特のカッティングでしょう。
鋸刃のような線のカッティングが、輪郭をぼかしモードな雰囲気を構築。
上品さと奇抜さの絶妙なバランス加減は、彼だからこそで作り出せる所業でしょう。

フロントはボタンレスで、中央に設けられた留め紐で調節する仕様。
「着る」では無く、「羽織る」に重きを置いたデザインとなっています。

ニット、カーディガンと聞くと、ゆったりとしたシルエットや、ラフなデザインを想像する方も少なく無いでしょう。例に漏れず、このニットと出会うまでは私もその一人でした。

いざ袖を通すと、裾広がりのカッティングが施され、カラーリングや生地感、随所のディテールと相まり、まるでテーラードジャケットを着ているのでは無いかと思うほどでした。
かといって、窮屈さ等は一切なく、ニットカーディガンらしい軽い着心地としなやかさが、全身を包み込みます。

その生地感とカッティングを最大限活かしたシルエットには、彼のこだわりと哲学が、顕著に表現されてており、「唯一無二」と言わしめる一着。
大人のカーディガン、と言ったところでしょうか。

シャツとの相性は言わずもがな抜群。
スラックスなどの上品なアイテムとの合わせが、非常にお勧めです。

表記: 無し(日本メンズサイズ M相当)
平置き採寸 : 肩幅42cm 身幅 57cm 袖丈57cm 着丈72cm
Model: 163cm 50kg

経年による生地の変化が見られますが、目立ったダメージのないグッドコンディション。
ヴィンテージ特有の風合いとしてお楽しみくださいませ。

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