第一回の記事ということで、あーでもないこーでもないと思案したところ、結果的になんだか小難しい題を構えてしまいました。
recollection vintageスタッフ、神崎と申します。稚拙な文章ではありますが、僭越ながら当店のBlogを担当させていただきます。
昨年11月にオープンした当店も冬を越し、段々と春の陽気に当てられる日々が増してきました。街を行き交う方々の装いも季節の移ろいとともに変化してきたようで、実に多種多様。ファッションと呼ばれるものの中にも多くのジャンルがひしめき、私たちの生活を取り巻いていることを実感いたします。
当店では、”Archive”と”Euro Vintage”を取り扱わせていただいております。そこでアーカイブを「ファッション」として見立て、ユーロヴィンテージの内の「ミリタリー」との関係性を紐解いていきたいなと考えたところから、本記事の表題へと繋がっていくわけです。
ミリタリーウェアがファッションとして取り入れられたのは1950年代後半から1960年代にかけての「モッズファッション」の流行が始まりと言えるでしょう。徴兵制の廃止により「モダニスト」とも呼ばれた若者たちが就職し、夜遊びに繰り出した時代。移動手段としてスクーターを利用していた彼らはエンジンがむき出しのモーターサイクルにより自慢のスーツが汚れることを嫌がりました。朝鮮戦争の停戦により米軍コートが安価で手に入れられた背景もあり、モダニスト達は米軍のM-51フィッシュテールパーカーに着目します。後にそれは「モッズコート」と呼ばれ、モダンジャズを楽しむ若者の必須とアイテムとなっていきました。
ミリタリーウェアの用途とは、戦闘服であり、作業着であり、そのどれもが機能性の追求にのみ重点を置かれた存在であることは明白。様々なブランドがミリタリーからサンプリングを行い、改良と発展を重ねていることからもわかる通り、ファッションに対するミリタリーウェアの寄与するところは大きいところです。しかしながらミリタリーからファッションへと歩み寄ることはなく、その関係性は一方的と言えるでしょう。
服飾史の欠かすことできない重要なピースであるミリタリーウェア。多くのブランドが群雄割拠する現在、ミリタリーに対する解釈とその表現の方法はデザイナー個人の気質が非常によく表れていると言えます。
こちらはミリタリーのサンプリングを得意とする"A.P.C"のF2ジャケット。フランス軍名作のモデルをモダンにアップデートした一品。落ち着きのあるブラウントーンに変更している他、フラップポケットのスナップボタンを廃止するなど、F2ジャケットの端麗なシルエットを残しつつもミリタリー要素を抑えることで、よりシティライクに寄せたミニマルな構成となっています。
ミリタリーウェアの造形に対し、ある種狂気的なまでの研究を続けたマッシモ・オスティ氏設立の"C.P. COMPANY"の一着。スウェーデン軍のタンカースジャケットをサンプリングし、レスキューハーネスまでも取り付ける巧緻な作り。生地感や胸ポケットの作り込みなど、本ブランド特有のディテールを織り交ぜることで唯一無二のプロダクトへと変貌を遂げています。
近年、人気の高さからアーカイブストアでも高騰の一途を辿る"HERMES"マルジェラ期からニ着ご紹介。
ベトナム戦域で活躍した米軍ジャングルファティーがジャケットを彷彿とさせる本一着。マルジェラ氏の十八番といえるミリタリーサンプリングと、"HERMES"の気品溢れる精巧なメイキング加え優艶な色彩が見事にマッチした極上の逸品。
"Burberry"の一枚袖をサンプリングしたであろうシースルーコート。イギリス軍の塹壕戦で使用されたトレンチコートがファッション性を獲得し、一枚袖のコートとして派生していくわけですが、それを更にサンプリングするという、ミリタリーウェアの影響力を物語る一着。
SNSの普及と共に、視認性やキャッチーさが求められるようになった時代。情報量が供給過多になりバックグラウンドが軽視されがちになった現代だからこそ、衣服それぞれが持つ歴史を追想しながら袖を通していただける、そのような商品を御提供できればなと思う次第にございます。
recollection[追想]スタッフ 神崎
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