2023/04/12 21:56
気づけば冬も終わり、桜も散りゆく季節となりました。ファッション業界に携わらせていただく身としては季節というものに敏感にならざるを得ず、春の装いというのを強く意識してしまいます。そこで春物をと思うわけですが、これがまた難しいところで、日中の日差しは陽気というより暑さを感じ、夜の冷え込みには身悶えしてしまう。アウターウェアの選択は常に頭を抱えてしまいますね。シャツ一枚というのもラフで良いところですが、好きな物は沢山身につけていたくなる性分でして、時折苦悶の表情を浮かべながらも何かしらを羽織っていこうかと思う次第です。
とまあつらつらとした前書きもそこそこに、
それでは本題へ......
1856年創業のバーバリー。長きにわたる歴史の中、刻み込まれた皺は数知れず。「ギャバジン」素材の開発であったり、第一次世界大戦で英国陸軍を支えた「トレンチコート」、代表的なパターンである「バーバリーチェック」と語るに事欠きません。 今回ご紹介するのはそんなバーバリーの、ひいては"Vintage"としてのマスターピースとなるプロダクト「一枚袖」。
70's "Burberrys" Cotton Polyester Single Raglan Sleeve Belted Balmacaan Coat with Liner
数あるバーバリーのコートの中でも「千着に一着」とも表される希少性は、当時オプションとして選択可能なディテールであったことが理由として挙げられます。そのレア感はコレクターとしての欲求を刺激するところではありますが、着目すべきはやはり、シルエットに他ならないでしょう。
「一枚袖」。その名の通り一枚の生地で仕立てた袖を指します。通常見られる、所謂「二枚袖」というのは袖の上部、また脇下の下部にステッチを走らせ2枚の生地を用いる仕立て。特にラグランのスリーブに現れる両者の違いとは肩の部分にあります。袖の上部がシームレスになることで、余分な生地は下方に逃げ、吸い付くような落ち感を実現。ヴィンテージでありながらもミニマムなデザインはモダンで都会的なオーラ。
恐らくオプションとして装備されたであろうベルトも欠損なく完備。バーバリーらしいAラインのシルエットもなかなかに魅力的ですが、ベルトによって程よく強調されるウエストラインは盲目的な恋のように引き込まれてしまいます。
驚く勿れ。ライナーも付属。ジップにより着脱が可能で、寒暖差に応じて適した着用法をお選びいただけます。
個人的にグッと来る前合わせの力ボタンのディテール。個体差によって破損が見られますが、こちらはそれが無くグッドコンディション。細かな意匠に、流石はバーバリーと感嘆するばかり。
常変わることなく評価の高い一枚袖。 多くのヴィンテージファンが愛してやまないそれは、飽く事なき筆舌しがたい美しさを纏っています。
春のお供に、極上の逸品を是非。
recollection [追想] Staff 神崎
recollection.vintage.111@gmail.com