recollection vintage

2025/04/07 20:59






こんばんは、新北です。




さて、今日のブログは、先日Instagramに掲載し、

たくさんの反響をいただいたこちらについて。







ユーロミリタリー界でも、とりわけ希少なこちら。



50年代のチェコスロバキア軍のドゥバキーカモ。



チェコスロバキアとは、

今はなき国であり、

現在はチェコ共和国と
スロバキア共和国に分裂していますが、

1992年まではチェコスロバキア共和国というひとつの国でした。











そもそも、チェコスロバキア共和国は
時を遡ること第一次世界大戦時、1918年にオーストリア(ハンガリー帝国)から独立してできた国。



中欧に位置し、チェコ人(西側)とスロバキア人(東側)のふたつの民族が一つの国に共存している形でした。


しかし、それから時は経ち1948年からは

共産主義政権のもと、ソ連寄りの体制が続きます。


しかし、1989年の東欧革命の流れに乗じて「ビロード革命」と呼ばれる、非暴力の民主化運動が成功。
共産主義政権が崩壊します。



民主化しハッピーエンドか、
と言われるとそうではありませんでした。


後に浮上したのが、チェコとスロバキアの間で政治的・経済的な意見の対立が表面化。



チェコ側(プラハを中心として)は経済的にも比較的発展しているエリアで、自由市場への移行を早急に進めたいという考え。対するスロバキアは経済的にも遅れをとっていて、そこに考えには慎重な対応を望んでいました。


加えて、歴史的にも「チェコが誘導する国」というイメージが非常に強く
スロバキア人の間では『対等ではない』という不満も。



そうした経緯もあり、1992年には国の在り方について合意が取れず、最終的には平和的に別れようと合意。


翌93年には現在の形であるチェコ共和国とスロバキア共和国に分裂しております。



この出来事は、暴力を伴わなかったため
”ビロード離婚”とも呼ばれています。








さてさて、歴史の話から洋服へと話を戻しましょう。


こちらのDUBAKY CAMO(ドゥバキーカモ)と呼ばれるカモフラパターンは、他国にはない独特なオークパターンの迷彩柄が特徴。



というのも、ドイツ軍のライバーマスターや、ソ連軍のアメーバパターンから着用を得て、それらを掛け合わせた柄だから。

















DUBAKY CAMOとは、
正式名称というよりは、俗称で、



DUBAKYという言葉はスロバキア語で「ポルチーニ茸(ヤマドリタケ)」のこと。


”この迷彩パターンが落ち葉の中にキノコが混じっているような模様”に見えることから、兵士たちの間で親しみを込めて呼ばれるようになりました。


たしかに、キノコと言われると
それっぽい毒々しさを感じさせるカモフラパターンですよね。




そんなキノコめいさ、、、ドゥバキーカモはチェコスロバキア人民軍(CSLA)にて使用されておりました。



人民軍ってなんやねんと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
これはれっきとしたチェコスロバキアの正規軍。



ソ連の影響を色濃く受けた国ですから、思想も赤く

共産党が政権を保持していたため、軍もソ連型に改変されており、
「労働者階級のための軍」を掲げた国家軍のことを指します。



そんな人民軍の中でも特殊部隊的な立ち位置にある
「空挺部隊」と「偵察部隊」のために支給されていたそうで、

特殊任務に就く彼らは、精鋭ですので、
通常の兵士に支給される標準装備とは別に
特別な装備が与えられておりました。



それが、このスモックというわけです。







亡国の、


軍のなかでも一握りの


精鋭のための服。






それは、めったにお目にかかれないことも納得です。












こちらのスモックは、装備の一番外に纏うもの。


作りは至ってソリッドなものです。




非常に平面的なパターンワークですので、
着用する人の体型に合わせて馴染むようにドロップするシルエット。


必要最低限のディティールワークなため、
当時の隊員が、自らの目的や意図に沿って
リメイクなんかしちゃったり。




こちらの個体も、
そうした前任者のオリジナリティあふれる
リペアワークが何とも粋。



「絶対、その辺にあった布を使ってやったでしょ!」と

思わず言いたくなるような愛らしいツギハギが

歴史的な経過と相まって、雰囲気を向上させています。























こうした洋服を見ると

古着の醍醐味とも言える

”唯一無二性”を強く感じます。






歴史的な価値

も含め、


モノとして

”アート”としても


お楽しみいただける一着です。






気になる方は是非とも。




それでは。



新北(@s.soichiro0211)