2025/04/28 19:41

潔く、研ぎ澄まされた、そして揺るぎなく。
90年代末から2000年代初頭にかけて、ジル・サンダー本人が手がけていたコレクション群は、ミニマリズムをひとつの到達点へと押し上げた。
そんな時代の空気を象徴するのが、この一着。


深みのある硫化染めブラックデニムに身を包み、リーバイスの名作 ”4th”(1960年代から70年代初頭にかけて生まれたType 3トラッカージャケット)のフォルムを下敷きにしながら、よりソリッドに、より現代的に昇華された。
ヴィンテージの荒々しさを、研磨された石のように滑らかに整えた。そんな佇まいだ。


細部にも、思わず目を奪われる。
胸ポケットの形状やボタンの配列は4thに忠実でありながら、シルエット全体はよりコンパクトに、洗練へと導かれている。
そして、硫化染め特有の経年変化。
着用を重ねるごとに黒が柔らかなグレーへと移ろっていく様もこのプロダクトが持つ魅力のひとつだろう。
ふと裏を覗けば、赤く艶めくレザータグが現れる。
端正なデザインの裏側に、あえて手仕事の温もりをそっと潜ませる。
誇張も飾りもない。
ただ、時代を超えて残るために必要なものだけがその佇まいに、作り手の矜持が見て取れる。
このデニムジャケットは、ジル・サンダーという存在が紡いだ、ミニマリズムの最も純粋なかたち。
その記憶そのものだ。

Online Store Up Date Tomorrow....
新北(@s.soichiro0211)