recollection vintage

2025/06/03 17:05



当店ではよく取り扱っておりますHERMESというメゾン。
一族がデザインをしている時も、外部からデザイナーを招聘してからも、メンズ/レディース問わず、数多くの名作を生み出してきました。
というか名の知れ渡ったアイテムでなくとも、そのクオリティは凄まじく。
皆様もお好きなんじゃないでしょうか。

馬具発祥のメゾン。
そのくせしてテーラリングも超弩級。
なんなんでしょうね。
僕の考えた最強のブランド、みたいな無茶苦茶な存在です。

スーツ三大国には数えられないフランスという国。
それでもやっぱり、ぽさ、みたいなのはございます。

HERMESもそうですし、同時期に誕生した世界最古のシャツ店にも共通して思うことは、なんだかアメリカン、です。

ダーツが入らずストンと落ちるたっぷりとした身幅。
これまたゆとりのあるアームホール。
比較的多く採用されがちなボタンダウンカラーorレギュラーカラー。
表前立てで胸ポケット付き。
とかね。
ポロカラーの生みの親であるB.Bやら、ヴィンテージ大好きおじさんのR.Lなんかと似てるんです。
(というかフレンチ・スタイルのシャツってショート・ポイントじゃねえの?というご意見もあるかと思いますが、HERMESとCHARVETはボタンダウン多い気がするんですよね。あくまで肌感なので悪しからず。)

でも、裾のラウンドは緩く(CHARVETはフラットが多いですね。)、身幅に対して着丈はややスッキリ。
このバランスすごいんです。
フランスっぽい。
だらしない、とは一切思わない、気品溢るる大人の余裕。
大好きなんですよね、フランスのシャツ。
テキトーにTシャツ、ジーンズの上からバサっと羽織って、暑けりゃ袖捲って。
そんだけでハイ、オシャレ。




アパレルスタッフが言うのもなんだかなあ、ですが、実際そうですからしゃーない。

さて、脱線してスタートしておりますが、そろそろ本題へ。
いかにもHERMESっぽいシャツです。
HERMESのシャツの中のHERMESのシャツです。

上述の通りのかたちではございますが、こちらは裏前立ての胸ポケット無し。
いつも通りに、スプリット・ヨークの、セリエ・ボタンで、気持ち悪いくらい綺麗なステッチ。
ガントレット・ボタンが省かれ、フロントのボタン間隔が広いのでリゾート・ライクな印象を受けますね。

生地はコットン100の平織り。とは思えないこのサラスベ感。
ずっと着ていたい。
寝てる時も着ていたいくらい。
こういう生地の何が良いかって、気取らず着られるんですよね。
シーム部分のパッカリングや、シワが入ってもやっぱりだらしなく見えない。というか、お洒落なだらしなさ。
なんなら洗いざらしで着ても良いかもしれないですね。

まあまあそんなことは置いときまして。
なぜこのシャツが"HERMESのシャツの中のHERMESのシャツ"なのか、です。

皆様この柄見たことありません?
ハウスカラーであるこの絶妙なオレンジ。
誰にも真似できないオレンジ。
お洒落ですよねえ、良いですよねえ。
それを基調としたオルタネイト・ストライプ。
既にお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、もしHERMESのテーラード・ジャケットをお持ちでしたら袖の裏地をご覧ください。
大抵この柄がいます。

世界のトップ・メゾンには様々な定番があります。
それはアイテム自体であれ、ディティールであれ。
そしてテーラード・ジャケットの袖裏地は往々にしてストライプが用いられるものです。
HERMESの場合はハウスカラーをつかったオルタネイト・ストライプ。それをシャツにしちゃいました、みたいなシャツ。

いやぁ、シビれましたね。
一目見て、一瞬で大好き。
ニシャニアンにはいっつもヤラれちゃうんですよ。

まあね、最初っからお気付きの方も少なからずいらっしゃるとは思いますのでね、わざわざ最後に触れる部分ではないのかもしれませんがね。
でもやっぱりそこに心惹かれちゃったんですよね。
あーカッコいい。