2025/06/10 17:20

ファッション大国たるフランス。
オートクチュールやコレクションという概念を生み出し、現代におけるファッションの礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。
世界最古のシャツ店であるCHARVET(シャルべ)もその国で生まれました。
1838年創業と、非常に長い歴史の中で、イギリスやスペインの王室、政治家など、数多くの上流階級を魅了してきた同ブランド。
エグセグティブのための良い趣味、というなんとも小粋なコンセプトを掲げており、その通りのプロダクトをつくり続けています。
同時期に生まれたフランスを代表するメゾンHERMESもまた、シャツの印象が強いです(と言ってもHERMESはほぼ全プロダクト印象が強いですね)。
スタイルの国であるフランスをプロダクトで語るのは野暮とは思いますが、個人的にフランスらしいと思うシャツは両者のもの。
でもなんだかアメリカンな気がするんです。
ダーツが入らないたっぷりとした身幅、それに呼応するかのような広いアームホール。
表前立て(はイギリスもよくやります。)で胸ポケットを付けがち。
BDカラーが多い。
など、もちろん例外も多いですが、肌感として上記の共通事項があるように思っております。
それでも、芯が柔らかくガントレット・ボタンを省略しがちというイタリアン・テイスト、そのくせBDでなければセミワイドというブリティッシュ・テイストというミックス感や、CHARVETはフラット・HERMESは緩いラウンドという独特な裾のカッティングからは、やはりエスプリの効いた大人っぽさを感じ取れます。
さて、今回そんなフランスを堪能できるCHARVETのシャツをいくつかご紹介。
と言ってもリペアから戻ってきただけなんですがね。
いかにもCHARVET、といった感じのプロダクト達。
セミワイド・カラー/表前立て/フラット・カット/ガントレット・ボタン無し。
上述と違うのは胸ポケットが無いことですが、恐らくこれらは完全なるドレス・シャツとして仕立てられたものなので至極当然。
ドレス・クロージングとしては珍しい配色の柄ですが、これもまたフレンチですね。あの国は色づかいエグいですからね。とっても素敵です。
そんな素晴らしいシャツ達のどこをリペアしたのかと申しますと、カフスの仕様でございます。
元々これらは全てダブル・カフスでございました(ちなみに別名フレンチ・カフスですが、その由来まで話すと長くなるので割愛いたします。簡単に言うとイギリスによるフランスへの悪口です。諸説ありますが、にしてもどんだけ仲悪いんだあいつら。)。
現代においては重厚感がありクラシックとされるダブル・カフス。
でもカフ・リンクスが無ければ留められないですし、最近のコレクションを見ていると伸ばしっぱなしで着てることもありますが、それしかできないのではつまらない。
ということで、片側にボタンをつけたコンバーチブル・カフスという仕様に変更いたしました。
これ、ドレス業界では賛否両論分かれる型なんです。
ドレスって兼用ってものが好きじゃないですからね。スポーティなものにカテゴライズされるので。
では、何故わざわざそんな仕様に?とお思いかもしれません。
理由としてはアメリカンな仕様だからです。
と言っても、別に発祥はアメリカかどうかは不明です。
が、あの効率重視、言い換えれば怠惰な国は大好きなんです。コンバーチブル・カフス。
基本的にはアジャスタブルが多いですが。
でも中にはもっとドレッシィなシャツが欲しいなあ、という怠け者もいたんでしょうね。
同じくアメリカ発祥のBDカラーも同様に賛否両論分かれますが、ストレートにフォーマル/ドレッシィなものより、ちょっと外して境界線が曖昧な方がフレンチである、という我々の独断と偏見による解釈です。
実際問題、袖が捲りやすくなるので非常に好きです。僕はね。
勝手なことしやがって、と目くじらを立てられる気持ちもよくわかります。
でも、もうやっちゃいました。
それにこっちの方が使いやすいんです。
だからお許しください、とまでは申しませんが、どうか一度お試しを。
コンバーチブル・カフスのCHARVET。
なかなかどうして粋なもんですよ。
濵田 (@hamada_25804)