recollection vintage

2025/07/04 14:56


"ARNYS(アルニス)"のバル・カラー。好きなんですよね。

襟同士に少し距離があって、台襟があって、ふわっとカーブを描いて落ちていく、ちょっと大振りの襟。

同じくフランスの名門テーラーである某Cのショルダー・ラインのように、アイコニックなデザイン。わかりやすいロゴとかではなく、匿名性の高い記号。まあ結局ボタンで丸わかりなんですけどね。

というかそもそも便宜的にバル・カラーと申しましたが、細かく言うとたぶん違いますよねこれ。まあ正直その辺は定義自体が曖昧なので追求しても仕方ないかもしれませんね。


随分とワークな面構えをしたこちらのジャケット。カバーオールみたいですよね。

しかしその見た目とは裏腹に仕立てはものすごく上質。

しかもなんとシルク100%なんです。

恐らくロウシルクと思われるその生地は しっとりとした光沢感としなやかさを持ち、上品さがヒシヒシと伝わってきます。

肩の落ち方とかもうやばいですね。語彙力奪われてしまうくらいに、やばいですね。美し過ぎます。


着丈は長く、シルエット的に重心は低いのですが、ボタン位置は高く、ディティールの重心は高く感じられる、ARNYSならではの独特なバランス。

オーセンティックでありモダンであります。


腰ポケットにはマチが付いておりますが、この生地でそんなに物入れる猛者はいるのだろうか、と。

でもARNYSであるということなんて気にせず、ガバッと羽織ってテキトーに扱うのもそれはそれでカッコいいなあ、とも思いますね。


ちなみにこちらの個体はDIXIEというモデル名がございますが、襟の名称と同じく些末なお話です。

ARNYSなんてあの超有名な森の番人の名前だけで良いですもの

こんなこと販売員が言うのもかなり無責任で本末転倒な話かもしれませんが、でも実際数多くあるモデル名を(一部でも、全てでも)知っていようが、ARNYSのプロダクトはただそれだけで素晴らしいものには違いないので、個人的にはあまり気にしてません。


もちろん名前も本質的なものの一つではございますが、あくまで記号は記号。

どんなものでもそのプロダクトそのものを見つめていたいなあ、っていう言い訳で締め括りです。