2025/10/11 16:36

涼しくなるのを感じてからと言うものアウター熱のようなものがどんどんと高まってきてしまっておりまして、現にコットンのカバーオールやナイロンのアノラックなど、どちらも軽快なものを選びながらも袖を通し始めているこの頃。
そういった類いのアウターを着られる程よく涼しい今時期も貴重とは思いながらも、もっと気温が下がってからのウールジャケットやレザージャケットも早く着たいなあ、とウキウキワクワクソワソワしております。
当店においてレザージャケットはHERMESやSERAPHINのようなフレンチ系を多くご提案しておりますが、GUCCIやPRADAといったイタリアン系のプロダクトも取り揃えております。
まあその辺もちょこちょこご紹介しておりますのでご存知とは思いますけれど、忘れちゃいけないのが"JIL SANDER"によるレザーウェアもまた素晴らしいってこと。
特に天才ラフが率いていた頃のものは個人的に大好物でございます。
艶やかなキャメルカラーのレザーは控えめな光沢により無骨な印象にすら感じさせる奥深い佇まい。
ヌードカラーで男性的、ってやっぱり結局セクシーですね。
男性的に感じさせるものとしては、フラップや袖などに直線的なカッティングが目立つからというのもあるんでしょうね。
直線的と言うとインダストリアルなイメージが湧きがちでワークやミリタリーなどに代表されるアイテムに直結しそうなものですが、ご覧の通りそういったベクトルの無骨さは一切なく、むしろアーティスティックな印象を受けるのは、パターニングと切替の影響でしょう。
かなり前面から背面に向かって進む肩線はそのままカフスにも繋がる驚愕の仕様。
一度後ろに潜り込んだものが、少し顔を出してくる違和感はエッシャーの作品のように脳が混濁するような感覚に陥ります。
恐らく前所有者によるクセがついているのでしょうが、袖が前振りになっており素晴らしきエイジングも感じられるのは非常に大きい美点。
うっとりしてしまいますね。
ステッチワークもまた美しく、ただそれは職人的な一面を覗かせるようで、先の芸術性との調和がまた素晴らしいのなんの。
ボタンが全て見えないようになっているのはJILらしいソリッドな表現でしょうかね。
何よりラフ期の良いところってサイズ感です。
ビッタビタなんです。
いやあ、これを良しとする感覚はどうにも強要できませんし、するつもりも更々ございませんけれど、これが良いんですよとっても。
ミウッチャにおいてもメンズによるタイトフィットを好む節が感じられますので、通りでラフが寵愛されるわけだな、とこの時期で感じられるんです。なぜラフが今PRADAをやっているのか、という文脈の一端を知り得るんです。
ミウッチャの美的感覚にも通ずるラフの世界が息づくレザープロダクト。
この一着で何味も楽しめちゃいますね。