recollection vintage

2026/05/30 19:02


紳士の肌着として生まれ、今や様々に分岐発展し、また拡大解釈が繰り返されたものの我々メンズに文字通り寄り添ってくれているカテゴリであるシャツ。
長い長いメンズファッションの歴史の中で大きく姿を変えていないものの一つとして認識しておりますので、数多くの先達による研究や実践のおかげで着方や組み合わせは無数に存在し、それゆえそれぞれの適したストレートorイレギュラーな楽しみ方がございますので、いくつあっても困らない、というかむしろ足りないと感じてしまう存在でございます。

涼しい時期ですとジャケットなどのインナーにピッタリ収まってくれますし、これからの時期はリネンや薄手のコットンのものをチョイスすれば真夏までをも乗り越えられる代物。
実際夏場は本当に重宝しております。
胸元を開けてしまって、だらしなくタックインなど忘れて、しまいには下の方もボタンを留めずに、袖も捲っちゃえば、後はもうサマースラックスでもリネンのパンツでもスイムショーツでも、それなりに大人びて見せてくれるってんだから、えらく秀逸でございますよね、この単なる襟の付いた布。ものによっては襟もないか。
しかし今の我々が強く魅力的に感じているのと同じくらい昔の人たちも魅力を感じていたのでしょうから、ここまで残ったのでしょう。ファッションにおけるシーラカンス的存在と言っても良いかもしれません。

そんなシャツですから、そりゃもう洋装の本家である欧米では様々なシャツメーカーというものが存在しております。
皆様はお気に入りのメーカーございます?
カジュアルシャツならここ、ドレスシャツならここ、でも構いませんし、もっと拘る方ならばセミワイドならここ、レギュラーならここ、或いはコットンツイルならここ、コットンポプリンならここ、のように拘りが垣間見える点でもございますから、そして立派にメーカーとして存在している以上どこにも良さがございますので、それを知りたいものですからお手間でなければ是非ご教示いただければ嬉しくて跳ね上がっちゃいます。










ファッション大国たるフランス。
それこそスーツ三大国には数えられないものの、その独自の感性から生み出されるプロダクトは魅力的なものが多く、ウォルトが人間をモデルとして服を着せたり自身の服にラベルを縫い付けたりしたあの頃から現在に至るまで世界のファッションを牽引していると言っても過言ではない国。

そのウォルトがパリにて創業するよりも20年も前、1838年から存在した、世界最古のシャツメーカーであり、またフランスが誇るシャツメーカーでもあるシャルべ。
随分と仰々しく聞こえるかもしれませんし、当店ではしばしば扱っておりますので手軽に見えるかもしれませんが、改めて考えますとこれでも言葉が足りないほど権威ある尊きメーカーでございますから、そんな存在のプロダクトを扱える光栄というのに浸ってしまいそうになるのをグッと堪えて、とりあえずこちらを書き上げてしまわねばなりません。

まずそもそも創業してから百と数十年もの間オーダーしかやってこなかった、という異常なる歴史。
むろんオーダーのみで完結し続ける純然たる仕立て屋というのもございますが、それで尚一世紀以上も続いていた、ということからは数多の富裕層からの絶大なる人気を得ていた、と想像に難くありませんね。
実際19世紀末の万国博覧会に対する信頼感と人気は凄まじく、そこで金賞と審査員大賞を取ったとなれば、想像を絶する人気であったのでしょうかね。
確かその頃はもう万国博覧会で浮世絵の大規模展示があったくらいにはヨーロッパでジャポニズムが流行っておりましたが、クリストフルはどうだったんでしょう。好きだったのかな。

長年シャルべが愛される理由としては、生地や色柄に対する研究と追求をし続けていることでしょう。
エグゼクティブのための良い趣味。
そのコンセプト通りに、しかしそれでいて多彩な世界を作り出しています。ただシャツという一つのカテゴリにも関わらず。





しかしその研鑽は並々ならぬものでございまして、例えば、一般的にシャツのフロントは7ボタンが多く、その理由としては奇数の方が美しいから、というシンプルながら強烈なものでございますが、シャルべはこれを平気で破ります。
恐らくポロカラーの生みの親の影響も多少なりともあるとは思いますが、主たる意味としてはボタンの間隔を広げ、その結果生まれるたわみすらドレープすらをも意識しているから、でしょう。
確かに間隔が広いとゆったりとたわみますが、それすらも捉えコントロールする潔癖的とも言えるセンス。
これは他では真似できない。

作りの良さ云々はヨソ様がご紹介しておりますし、当店でも何度か触れておりますので割愛いたしますが、何もそのつくりの良さ以外にも魅力はたっぷりと、しかもそれぞれ違うかたちでございます。

恐るべきかなシャルべ。フランスの古豪。世界最古のシャツメーカー。その名は伊達じゃございません。
いやぁ、ほんとにシャルべのシャツってものは問答無用でカッコいいんだぁ。
あ、ついでに申しますとルームシューズも好きです。あのスリッパも。
結局エスプリってこういくとなんだよな、と納得させてくれるんです。シャツもスリッパも。